企業や商品、最近では個人にとっても重要視される「ブランディング」。さまざまなところで耳にするブランディングですが、実は正しく行えているところはあまり多くありません。
今回は、ブランディングの定義や基本的な知識と、誰でもすぐに始められるブランディングのやり方を解説していきます。
目次
ブランディングとは

そもそも「ブランド」とは
ブランディングを考える前に、そもそもブランドとは何か、その定義を改めておきましょう。「ブランド」というと、シャネルやルイ・ヴィトンなどの高級ブランドを思い浮かべる人が多いと思います。しかし、高級品=ブランドというわけではありません。
「ブランド」という言葉の語源は、牧場のオーナーが自分の家畜に焼印をして区別できるようにしたことだそうです。つまり、ブランドとは、「他との区別をつけるためのもの」です。ロゴや名称、デザインなどのさまざまな要素を含んでいます。
ブランディングとは
ブランディングとは、ブランドの動名詞形、つまり、ブランドを作っていく作業のこと。具体的にいうと、「スマホといえばiPhone」、「遊園地といえばディズニーランド」など、ユーザーの心に「◯◯といえば、これだな」というイメージを植え付けるための活動のことを指します。
ブランディング手法は、そのブランドにあわせてさまざまなものが考えられます。
大きい企業だと、テレビCMや、大々的なキャンペーン、イベント、企業タイアップなどを行なったりします。他にも、プレスリリースを打ったり、デザインマニュアルを作ってアウトプットのイメージを統一させることなども重要なブランディング活動のひとつです。
マーケティングとブランディングの違い
さて、同じような意味合いで使われることのある「ブランディング」と「マーケティング」ですが、両者には明確な違いがあります。
誤解を恐れずに言うと、ブランディングは「イメージ戦略」、マーケティングは「販売戦略」と表すことができます。言い換えると、ブランディングとは「消費者の印象」を操作すること、マーケティングは「商品やサービスを売るための仕組み」を作ることといったところでしょうか。
マーケティングもブランディングも、企業にとっては欠かせない要素です。マーケティング活動を通じて、その商品やサービスが選ばれるための仕組みを作り、ブランディング活動によって、その商品やサービスが選ばれ続けるようになるのです。
ブランディングは効果が出るまでに時間もコストもかかることが多く、まずは、目先のマーケティングに終始してしまう企業が多いのも現状です。しかし、永続的な売上を作るためには、マーケティングと同時にブランディングを行なっていくことが必須と言えるでしょう。
ブランディングの必要性

ブランディングに成功するとどうなる?
例えば、家電製品を買うなら国産製が良いと思う人は多いでしょう。「Made in Japan」が高品質で安全性が高いというイメージがあるからです。
また、カフェ業界を考えても、競合他社よりも価格の高いスターバックスへ好んで通う人もたくさんいますよね。カフェの中で「スターバックス」というブランディングが確立されているからこそではないでしょうか。
ブランディングに成功して熱狂的なファンがつけば、消費者は長い間その商品を選んでくれるようになります。企業から見れば、顧客のLTVが向上し、継続的な収益に繋がるということです。さらに、ブランドそのものに価値を感じてもらえると、同じ成分、同じ原価でも、他社のものより高い価格での販売も期待できるでしょう。
ブランディングの成功は、その企業で働いている従業員の満足度にも変化が表れやすく、また、人材採用も有利になるでしょう。
ブランディングしないと価格競争に陥る
モノが少ない時代であれば、新しい商品を作ればある程度は売れる見込みがあったことでしょう。しかし、モノがありあまっている現代の日本での商品販売は一筋縄ではいきません。
ある商品を購入するとき、消費者がどの企業のものでも同じと考えている場合、購入の決め手となるものは何になるでしょうか。消費者の立場から考えれば、やっぱり安いものを選びますよね。
つまり、ブランディングがうまくいっていない企業は、競合他社との価格競争に巻き込まれやすくなり、より苦しい状況になる可能性が高いということです。高品質の商品をギリギリまで安くしてしているのに、全く売れないなんてことも珍しくありません。
ブランディング活動は、これからの時代、どの商品・サービスにも欠かせない重要なものなのです。
ブランディングのやり方 5ステップ

「ブランディングが重要なのは言われなくてもわかっているよ」という人はきっと多いことでしょう。でも、実際に「ブランディングをやってみろ」と言われたら、何から始めれば良いのかわからなくなりますよね。
そこで、ここからは実践編です。イチからブランディング活動を行うときのやり方を確認していきましょう。
環境分析を行う
まずは、マクロ分析や自社が置かれている業界の構造などを分析するところから始めましょう。
環境分析には3C分析やSWOT分析などのマーケティングのフレームワークが役に立ちます。現状を正確に把握することで、次の一手が見えるようになってくるでしょう。
ターゲット設定
環境分析で見えてきた市場の中で、どのようなポジショニングをとるか、ターゲット市場を決めていきます。STP分析やペルソナ設定が効果的です。
ブランド・アイデンティティの決定
環境分析をもとに、ターゲットを選定し、ブランド・アイデンティティを決めていきましょう。ブランド・アイデンティティとは、そのブランドがもつ象徴的なイメージのこと。消費者にこんな風に感じてもらいたいという普遍的なイメージを固めましょう。
コードとスタイルに落とし込む
ブランド・アイデンティティが決まったら、それを具体的なアウトプットに落とし込みます。
ブランドのキャッチコピーや企業スローガンなど、ブランド・アイデンティティを言葉化したものを「コード」といいます。
また、デザインのコンセプトも重要です。ブランド・アイデンティティのデザイン要素を具現化したものを「スタイル」といいます。
コードとスタイルをしっかりと固め、ブランディング活動のブレない軸を作り上げましょう
クリエイティブ作成とメディア露出
コードとスタイルが固まったら、いよいよどのように発信するかを決めていきましょう。ターゲット属性に合うメディアを選定し、予算を決め、コードとスタイルに沿ったクリエイティブを作成します。
どのビジネスにもブランディングは欠かせない
ものづくりをしている企業だけでなく、サービス業や、ひいてはクリエイターなどの個人事業を行なっている人にとっても、ブランディングは重要な意味を持ちます。
ビジネスを成功に導く要素のひとつともいえるブランディング、難しく考えず、まずはできるところから始めてみませんか?