3分でわかる「CRM」の基本。CRMってなに?どんなメリットがあるの?

CRM

営業やマーケティングに携わる人なら耳にしたことがあるであろう「CRM」。ここでは、CRMの考え方やCRMツールを導入する際の注意点をご紹介します。

CRMとは

CRMとは、「Customer Relationship Management」の略で、日本語に訳すと「顧客関係管理」、「顧客管理」となります。

CRMはその名の通り、顧客との関係をマネジメントしていく経営手法です。CRM=「CRMツール」を指して使っている人も多いですが、厳密に言えば、顧客管理自体を指して使われる言葉ということになります。

身近にあるCRM

CRMというと、複雑なシステムを使って膨大なデータを管理して……と難しく考えがちですが、CRMは日常のあらゆるところで行われています。

例えば、馴染みの飲食店で「いつもの!」と頼むと、商品名をわざわざ言わなくても毎回注文するものが運ばれてくる……どこかで見たことがある光景ですよね。中には実際にお客さんとして体験している人もいるでしょう。

常連さんの「いつもの!」に対応するために、もしかしたら、「お得意様ファイル」に顧客の特徴や好みを記録しているお店なんかもあるかもしれません。お店側は意識していないかもしれませんが、これもれっきとしたCRMです。

さらに、ホールスタッフが「常連の山田さんはいつもお魚料理を頼むから、今日入荷した裏メニューの◯◯をご提案してみよう」と機転を利かせたサービスを行う、など、これも素晴らしいCRMの事例です。

このように意外と身近なCRMですが、インターネットが普及してマーケティング手法が多様化するにつれ、より詳細に、より広範囲に顧客管理ができるようになってきました。専用のCRM支援ツールも多くの企業から出てきています。

CRMが必要とされるようになった背景

CRMの概念を理解することは難しくないものの、そもそもいったいなぜCRMという言葉が生まれ、ここまで注目されるようになったのでしょうか。

それは、ビジネスの環境の変化に伴って、顧客中心のマーケティングが求められるようになったらからです。

社会全体が成長している大量生産・大量消費の時代では、売り手側の都合でさまざまなマーケティング戦略が実行されてきました。しかし、人口が減少し、物が余っているいまの時代、消費者の目はより厳しくなり、買い手側が自分にあった商品やサービスを選べるようになっています。それに伴い、売り手側は顧客のニーズに寄り添ってマーケティングを行う必要性が出てきたのです。

そんなビジネスの環境変化の中で注目されたのがCRMです。CRMを行うことによって、顧客の行動や趣向を把握し、適切なタイミングで適切なアプローチができるような戦略を立案・実行できるようになります。

CRMツールはどんなことができるの?

マーケティングに有効なCRMを行うために、多くの企業が導入しているのがCRM支援ツールです。CRM支援ツールのサービスによってできることは違いますが、主な機能としては以下のようなものが挙げられます。

CRM支援ツールでできること
  • 顧客名簿機能…取引先企業名、担当者名、住所、電話番号などの登録ができる
  • 案件の進捗ステータス管理機能…現状の契約状況、訪問した日や商談内容、現在のTODOステータスなどの管理ができる
  • 各種書類発行機能…見積書、請求書、発注書などの発行が簡単にできる
  • メール配信機能…一斉配信や顧客セグメントごとでのメール配信ができる

いつ誰がどんな話をしたのか、何回商品購入してくれているのかなどを詳細に管理でき、顧客のフォローアップにも役立ちます。

このほかにも、独自機能を持っているCRMツールも多くあります。

CRMツール導入のメリット

CRMを導入することで得られるメリットは多くあります。例えば、次のようなものです。

  • これまでばらばらになっていた顧客情報が一元化でき、効果的な施策を打つための有力な情報源になる
  • 過去の履歴をしっかり残しておくことで、「あれ、あのお客さんどうなってたっけ?」ということがなくなり、営業担当者の仕事の効率化に繋がる
  • 自社の担当者が変わるときにも、これまでの折衝履歴を確認することでスムーズに引き継ぎすることができる
  • 多くの顧客情報が貯まることで、自社の経営戦略の方向性を指し示す重要な分析データとなる可能性も

顧客情報は企業の大切な資産となります。顧客が増えてきたら、ぜひCRMツールの導入を検討してみてください。

CRMとSFAの違いは?

CRMツールと似た機能を持つものに、SFAツールがあります。

SFAとは、「Sales Force Automation」の略で、日本語に訳すと「営業力の自動化」といったところでしょうか。一般に、営業を支援するためのツールのことを指します。SFAでは、顧客情報管理に加え、営業担当者の行動記録やTODO管理、日報機能、売上実績管理、売上ノルマの進捗管理などが可能です。

簡単に言うと、CRMが主に自社の顧客別に情報を管理するツールであるのに対し、SFAは自社の営業担当者別に情報を管理するツールといえます。

自社の業種や職種、規模などによって、CRM、SFAのどちらが使いやすいかが変わります。状況にあわせて導入を検討すると良いでしょう。

CRMツールを上手に活用する3つのポイント

CRMツールは導入しただけではその効果を発揮することはできません。CRMを最大限に活用するためには、次のポイントを意識する必要があります。

記入項目や表記方法を統一する

記録する人が複数いる場合には、事前に記入方法を統一しておくことが重要です。顧客の見込み度合いの基準や、行動実績の記入方法など、営業担当者の主観によって書き方が大きく変わる項目は特に注意し、全社で共通認識を合わせることを意識しましょう。

CRMツールの利用目的を明確にする

CRMを導入しても、毎日漫然と打ち込み作業を行なっているだけなら、ただ無駄な業務が増えてしまっている状態といえます。ツールの効果が発揮しきれずもったいないですね。

CRMツールを正しく使うには、利用目的を明確にすることが必要不可欠。導入してからどこを効率化して、どの数字を改善していくのか、具体的な数値とともに目的、目標を定めることを強くおすすめします。

また、運用していく中で定期的にデータを分析し、課題を発見して戦略の方向性を修正したり、新たなキャンペーンを立案したりと、具体的なアクションに繋げることを意識しましょう。溜まった顧客データをどう分析して活用するかを考えながら運用を進めることが大切です。

多部署とも連携する

営業部だけで管理していて、マーケティング部や広報部には情報がいっていないというのはよくあること。しかし、それはもしかしたら重大な損失になっているかもしれません。

CRMツールを使ううえでは、他部署にも意見や提案を求めたり、関係する各部署に必ず情報を連携して施策を共有しておくことが重要です。違う部署に共有することで、自分たちでは気づけなかった新しい情報の活用法がみつかるかもしれません。また、他部署から協力してもらえる可能性もあり、社員同士の結束力が高まることも期待できます。

事業活動にCRMは不可欠

大なり小なり、ビジネスをしていく以上はCRMは不可欠なものとなります。しかし、まだ規模が小さいのに高機能のCRMツールを導入すると、結局使いこなせずに無駄な出費となることも多いでしょう。自分の身の丈に合った方法で、有効なCRMができる方法を探してみてください。


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