USPとは?有名企業の事例に学ぶマーケティングのUSP

USP

モノやサービスが溢れているいま、競合がひしめき合う中でどう生き残っていくかは多くの企業で課題となっています。他社と同じことをしていても、お客様に選び続けてもらうことは難しく、いかにして独自性を出していくかが勝負といえるでしょう。そこで今回は、企業の独自性を提供する「USP」について解説していきます。

USPとは

USPとは、その企業やサービスだけが持つ「ウリ」を明確にすること。「Unique Selling Proposition(ユニーク・セリング・プロポジション)」の頭文字をとったもので、直訳すると「独自の販売案」となります。

マーケティングにおけるUSPの考え方を提唱したのは、アメリカの広告コピーライターであるロッサー・リーブス氏。1961年に広告制作の理論として出版した著書『USP』が始まりです。USPの概念は瞬く間に世界中に広がり、現在日本でも多くの企業が取り入れています。

USPをはっきりさせ自社の強みをアピールすることで、競争優位性が生まれ、消費者から選ばれやすくなる効果が期待できます。

USPを作るときの3つのポイント

USPは、ただ単純に競合比較をして差別化を図るということではありません。USPを定義するときには、次の3つの要素が含まれている必要があります。

  • 顧客が得られるベネフィットがあるもの
  • 自社だけが持つ独自性のあるもの
  • 多くの人を動かすインパクトのあるもの

顧客が得られるベネフィットがあるもの

ベネフィットとは、顧客が商品やサービスを通じて得られる価値や利益のことをいいます。商品やサービスの特徴ではなく、その商品やサービスを通じた顧客体験価値に重きを置いて考えるようにしましょう。

自社だけが持つ独自性のあるもの

USPの名の通り、自社の強みがユニークなものであることは大切なポイントです。他では替えがきかない、自社だけが持つものこそ、USPといえるでしょう。

多くの人を動かすインパクトのあるもの

ビジネスを成功させるためには、多くの人を動かすことが不可欠です。その原動力となりそうなUSPとはどのようなものか、具体的に考えてみてください。

USP作成時にあわせて使いたいフレームワーク

USPを定義するときには、自社の置かれている状況を正確に把握するための環境分析を行うことが有効です。環境分析にはマクロ環境を扱う「PEST分析」や、業界構造を可視化する「5フォース分析」などを行うと良いでしょう。

また、環境分析をしたあとに、STP分析などでターゲット市場を選定すると、より効果の高いUSPが作れるようになります。

USPを上手に打ち出している企業の成功事例

USPは、詳細な提案書にまとめるようなものではありません。誰もがわかりやすいもので、社内の共通認識にできるぐらいの簡潔なものにするべきです。ここでは、参考として、優れたUSPを持つ企業の成功事例をご紹介します。

QBハウス

お客様のカットに要する時間は、約10分。価格は、1,080円(税込)にて提供いたしております。

シェービングやマッサージ、理容師のヒアリングなど、理髪店におけるサービスの部分を徹底的にを削ぎ落とし、カットに集中させる常識破りの事業形態で、理容業界に革命をもたらした「QBハウス」。

おしゃれなヘアスタイルを目指す一般的な理美容室とは違い、「身だしなみを整える」感覚で通えるQBハウスは、ビジネスパーソンを中心に多くの人の指示を得ることに成功しました。理美容業界にそれまでなかった「早い、安い」というUSPを強調した成功例といえます。

2018年には東証一部へ上場を果たし、国内外550店舗を超えるまでに成長しています。

俺の株式会社

星付きレストランの一流料理人が手がける料理を、高級店の3分の1の値段で食べることができる!

「俺のイタリアン」や「俺のフレンチ」などを展開する「俺の株式会社」も、明確なUSPを武器に成長を続ける企業のひとつです。

飲食店の食材原価は、10〜30%が定石といわれます。しかし、「俺の」シリーズのレストランの平均料理原価率はなんと55%にも上り、中には100%を超えているメニューもあるのだとか。

高級食材をふんだんに使った一流シェフの料理を、圧倒的な安さで提供する驚異のコストパフォーマンスで日本中を席巻し、新橋の1号店オープンから7年あまりで、国内38店舗、海外2店舗を展開する人気チェーンに成長しています(2019年2月現在)。

ユニクロのフリース

軽くて暖かく、洗えて、乾きも早い。さらに低価格でカラーバリエーションが豊富

老若男女問わず、日本中の人に愛されるカジュアルウェアブランドといえば「ユニクロ」を置いて他にないでしょう。

ユニクロの成長の起爆剤となったのが、1998年に販売を開始した「フリース」です。当時は大ブームが起こり、「ユニクロといえばフリース」というほどのイメージが定着するまでになりました。

ユニクロは、当時からもちろん幅広い商品を販売していましたが、USPを「フリース」に絞り、プロモーションを展開。高い機能性と圧倒的なカラーバリエーションで、その知名度を一気に全国的なものにまで押し上げたのです。

USPを上手に打ち出し事業を加速させよう

USPは、事業の成長や環境とともに定期的に見直すことも必要です。先のユニクロも、「フリース」から「UT」「ヒートテック」など、時代とともにUSPを上手にスイッチしながら事業を展開していっています。

これまでUSPを作ったことがなかった人はもちろん、今あるUSPがいまいちしっくり来ていない人も、あらためて事業を見つめ直し、イチからUSPを作ってみてはいかがでしょうか。


この記事をシェアする